「おはようございます。」
由美子は登校して来る生徒たちと挨拶を交わしながら、自分の教室へと向かった。
教室には川崎麗奈が待ち構えていて、由美子を見るなり近寄って来て話し始めた。
「もう知ってるよね。あの俳優に死刑判決が出たってこと。」
「ええ、聞いているわ。でもあの俳優さん美鈴さんを殺してはいないって言い張っていたのよね。やっぱり何か新しい証拠が出たのかしら。」
「あの俳優が主張していた美鈴さんと兄妹って話が嘘だとわかったのよ。美鈴さんのDNAが採取できないと思って、いい加減な作り話をしたみたいだけど、美鈴さんのDNAが出てきたのよ。それが照合したら血のつながりがなかったそうなのよ。これで完璧にあの俳優が犯人だってことになったのよ。」
「どこからDNAが出てきたのですか。確か美鈴さんの住んでいたマンションもすでに引き払って荷物もないって聞いていたけど……。」
「美鈴さんがもうだいぶ前になるらしいのだけど、彼女のマネージャーさんの家に泊まりに行ったことがあったらしいの。その時に使っていたブラシを、マネージャーさんの家に置き忘れていて、二人共すっかりそのことを忘れていたのだけど、マネージャーさんが仕事辞めて引っ越すことになった時、たまたま家の荷造りしていた時に出てきたらしいのよ。」
「そうなんだ。」
二人がそんな話をしているところに、松田響輝が教室に入って来た。
「おはよう!」
「おはようございます。」
「今日裁判が終わったらしい。弁護側は控訴しないようだ。あの弁護士控訴しても勝ち目がないと判断したって言っていたよ。それにこれだけ世間が注目する事件の弁護をできただけで、十分に自分の名前は知られたから、ここらでいいって言っていたよ。全くいい加減な弁護士だったね。」
松田響輝はあきれ顔でそう言った。
「全くですね。あの弁護士いろいろ掻きまわしただけで、今となっては適当にいろんな人のまわりに現れて、あることないこと言っただけになりましたね。」
川崎麗奈も失望したようにそう言った。