「結城沙織さんは美鈴さんの事件とは、何の関係もありませんよ。」

服部弁護士はきっぱりとそう言った。

「いやでも、武中雄太氏にホテルの近くで声をかけたことを否定空ているみたいだし、やっぱり怪しいですよね。」

「それは武中雄太氏を快く思っていないからですよ。彼女は今も三年前の事件で、アイドルとその恋人だった自分の弟は、美鈴さんと武中雄太氏に、殺されたと思っているのじゃないですか。それに武中雄太氏に関わりを持つと、好感度が下がってしまと思っているかもしれません。彼は女たらしで有名ですから。」

「やっぱり動機があるのじゃないですか。」

由美子の父親はそう言った。

「何言ってるのですか。結城沙織さんは犯行時間武中雄太氏に会っていたのだから、彼女にもアリバイはありますよ。」

服部弁護士はそう言った。

「いいえ私は結城沙織さんが殺したといっているのではなく、彼女が武中雄太氏をホテルの近くで声をかけて、足止めしてその間に誰かに、美鈴さんを殺させたということは考えられます。」

由美子の父親は真剣に考えこんでそう言った。

「そんなことは妄想ですね。まあ私は誰が殺人犯かは関係ないので、そう思うのは自由ですがね。」

 由美子は服部弁護士のその言葉に、(この人はなぜこの事件の国選の弁護を引き受けたのだろう。国選ならあまりもうからないだろう。この事件にもあまり関心なさそうに見えるのに……。)

「服部弁護士はなぜこの事件の弁護を受けたのですか。」

「それは、なんといっても武中雄太氏は有名人だし、世間の注目も浴びている。こんな事件を担当できれば、私の弁護士としての知名度も上がる。今は自宅を事務所にしながら、細々と弁護活動を行っています。しかも来る依頼は離婚調整の事案が、年に数回程度であまり仕事がない。だからここらで少しは知名度を上げて、いい顧客を見つけないといけない。」

「あのそれがこの事件で弁護をする理由ですか?」

由美子は呆れてそう言った。

「ええそうですよ。この事件の裁判が終わるころには、有名弁護士の仲間入りです。」

服部弁護士はそう言うと、帰り支度をしてあいさつをして戻っていった。

投稿者

ほたる

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です